僕の子供たちは、頻繁に面白い質問をしてくる。
息子とお風呂に入って、湯船に浸かって温まっていると
「お父さんが知ってる、一番画数の多い漢字は何画?」という質問がきたのである。
難しい漢字ではなく、画数の多い漢字である。
知っている難しい漢字なら、すぐに言葉に出る。
しかしながらこの質問の場合、何画か答えられなければ、知っている事にはならないのだ。つまり「読むことは出来るが書くことは出来ない」という、日本人の盲点を見事に突いた質問なのである。
これには困った。
あまりにも画数が少ないとプライドが許さない。かといって、ぱっと思いつかない。お風呂でうんうんとうなって考えるのである。
まずは薔薇が思いついた。
しかし、正確に書けないため、画数を言えない。思えば昔、安田成美が「ねぇ、バラって漢字で書ける?」と言ったCMをやっていた。僕はそれを真に受けて薔薇を練習したものである。当時僕は真面目だったようだ。しかし今はうろ覚えとなっている。
安田成美ではなく、原田知世のファンである私は、残念ながらそこまで真剣に薔薇の練習をしていなかったということが、ここに証明されたと言える。
バラは諦め、他を探すとする。
自分や、身近にいる人々の名前を連想してみる。すると不思議なことに、大概は10から12画程度にまとまっている。これでは、父が知りうる1番多い画数とは、胸を張って言えないのである。
12画程度の漢字ならば、世の中にゴロゴロある。その程度の画数で最強を名乗るというのは、月収6桁で声高らかに成功者とのたまわるツイッ〇ー界隈の人々と大差ないのである。
前向きで承認が身上の僕である。あんまりこういうこと言っちゃいけないのである。でも、たまには本音もいいかと思うのである。
あれこれ考えた結果、「嶽」にすることとした。
でも、17画か。
ちょっと物足りないが、即興だしいいだろう。
17画で息子に申告。
「小学校で習う1番画数の多い漢字は、20画だよ」
衝撃の事実である。
なんだ、この小学校1年生は。なぜ、そんな事を知っているのか。
まだ、考えろということなのかな。
辺が複雑なほうが、画数は稼げる。
糸辺
雨冠
なかなかいいぞ。
しかし、いいかげん、のぼせそうである・・・。
そんな時にも、小学生で習う1番少ない画数は1画だけど、2画の漢字はいくつあるのかな?とか、お父さんが1番最初に書けた漢字は何?と、難儀な質問を頂く。
結果、17画以上の漢字を思い出せなかった。
しかし、お風呂から上がり冷静になると
難しいの「難」が、18画である。
17画を普通に越えている。
その他調べてみると、
薔薇は、画数は大した事なく16画。
雨辺の「霧」が19画。
護、議、腹、腸、豊 などが20画。
言辺は画数を稼ぐ文字が多い。
折角なので、画数が1番多い漢字を調べてみたところ、常用漢字では「鑑」の23画という事である。常用で無いところを言えば、浄土真宗の宗祖、親鸞聖人の「鸞」が30画である。
読めるが書けない。
画像を鮮明にインプット、アウトプットするのは、非常に難解である。
人の記憶は曖昧なものだと言う事を、改めて子供から学んだのであった。
ありがとう、わが息子。
漢字に親しんで、楽しく覚えて欲しいと願うのであった。
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