Hi.How'er you doing?
司馬遼太郎先生の著作「竜馬がゆく」を通して、感銘を受けた坂本龍馬の生き方。
心に残った場面を書きます。
新装版竜馬がゆく(1)76頁より
-木花咲耶姫の化身たる富士を初めて見た竜馬が感動している-
「藤兵衛、一向に驚かぬな」
「見なれておりますんで」
「若いころ、はじめてみたときはおどろいたろう。それともあまり驚かなんだか」
「へい」
藤兵衛はにが笑いしている。
「だからお前は盗賊になったんだ。血の気の熱いころにこの風景をみて感じぬ人間は、どれほど才があっても、ろくなやつにはなるまい。そこが真人間と泥棒のちがいだなあ」
「おっしゃいますねえ。それなら旦那は、この眺望をみて、なにをお思いになりました」
「日本一の男になりたいと思った」
「旦那」
と藤兵衛はむくれて、
「それは気のせいでございますよ」
「あたりまえだ。正気で思うものか。坂をおりればすっかり忘れているにちがいないが、しかし一瞬でもこの絶景をみて心のうちがわくわくする人間と、そうでない人間とはちがう」
-喜怒哀楽もそうだが、感受性というものがある。同じ景色を見た時に、十人十色の感じ方がある。
それは景色に限らないと思う。
いまある現実を見たときに、どこを見て何を感じるのか。
感極まる景色なのか、ただの風景なのか。
美しいのか醜いのか。
チャンスなのかピンチなのか。
追い風なのか向い風なのか。
素晴らしいのかみすぼらしいのか。
恵まれているのか貧しいのか。
幸福なのか不幸なのかさえも、現実を見る、その人自身の視点で全て変わってしまう。
竜馬の「心うちがわくわくする人間と、そうでない人間とはちがう」という言葉は、そういった事まで思い描かせてくれる。
いつまでも、心うちがわくわくする人間でありたいなと思います。